「これ、ヴィトンだけど経費で通るかな……?」
そんなふうに、
支払いの瞬間に少し止まることはないでしょうか。
ブランド品や高額なものは、
なんとなく「税務調査で危なそう」と感じる方が多いです。
でも、経費になるかどうかを分けるのは、
ブランド名でも価格でもなく、事業で使っているかどうかです。
今日はその話を、実際にあった税務調査の話も交えながら整理します。
経費判断の本質は「高いかどうか」ではない
まず結論から言うと、
高いから経費にならないというルールはありません。
会社が事業のために必要な設備を数千万円、数億円で買えば、
それは当然会社の支出として処理されます。
高いからダメなのではなく、
事業に必要だから認められるわけです。
ブランド品も同じです。
ヴィトンだからダメ、フェラーリだからダメ、
ということではありません。
大事なのは、その支出が
事業に必要で、実際に事業で使われているかです。
税法は、基本的に見た目より実態で見ます。
本質は、何を買ったかより、
どういう目的でどう使っているかです。
実際にあった税務調査の話
以前、実際にあった話です。
ある会社で、
80万円くらいのビジネスバッグを経費として処理していました。
金額が大きいため、全額をその年の経費にするのではなく、
減価償却で処理していました。
そのバッグは高額でブランド性もあるため、
税務調査では当然、私用ではないか、嗜好品ではないか
という目で見られる可能性がありました。
ただ、その会社には明確な事情がありました。
富裕層を相手にする仕事で、
実際にそのバッグもビジネスの場でのみ使っていたのです。
とはいえ、「仕事で使っています」と言うだけでは足りません。
そのため私は事前に、
「税務調査の日は、そのバッグを必ず会社に置いておいてください」
と伝えていました。
その方は毎日使うわけではなく、
便宜上、自宅に置いてある日もあったからです。
でも、調査の場で現物がなければ、疑いは強くなります。
実際、当日に「そのバッグはありますか」と聞かれ、
その場ですぐ現物を見せることができました。
さらに、
富裕層向けの営業で使っていること、
仕事でのみ使っていることを説明したところ、
特に問題にはなりませんでした。
逆に、その場に現物がなければ、
本当に仕事用なのか、実際は私用なのではないか
という見方はかなり強くなったと思います。
つまり、見られていたのはブランド名ではなく、
現物があるか、仕事で使っているか、
その説明に無理がないかという点です。
なぜ「ブランド品はダメ」と思われやすいのか
ここまでブランド品=危ないというイメージが強いのは、
公私混同に見えやすいからです。
ブランドバッグ、高級車、高級時計。
こうしたものは、事業でも使える一方で、
私生活にも入り込みやすい。
だから税務署から見ても、経営者から見ても、
線引きが曖昧になりやすいです。
さらに、経営者側が
「なんとなく必要だと思った」
「気に入ったから買った」
という感覚で処理していると弱いです。
税務で大事なのは、気持ちではなく説明です。
なぜ必要なのか。
どんな仕事で、どんな相手に、どう使っているのか。
そこが言語化できていないと、
一気に趣味や嗜好に見えてきます。
税務調査で見られるのは「説明できるかどうか」
税務調査で大事なのは、後ろめたさがないことではなく、
後ろめたさがない状態を説明できることです。
見るポイントはシンプルです。
現物があるか。
仕事で使っている実態があるか。
その説明が自然か。
特にブランド品や高額品は、
普段から少し意識しておくだけで違います。
会社に置いてあるのか。
どういう場面で使うのか。
誰に対する仕事で必要なのか。
私用と混ざっていないか。
こうした点が整理されていれば、
調査でも無用な疑いを受けにくくなります。
逆に、現物がない、説明が曖昧、
私用との線引きが見えない、となると一気に不利になります。
線引きは「モノ」ではなく「実態」
この感覚は、バッグ以外でも同じです。
たとえば時計は、
私用との区別がつきにくいので厳しく見られやすいです。
一方で、通知やスケジュール管理など、
仕事の道具としての機能が明確なApple Watchなら、
見え方はかなり変わってきます。
車も同じです。
高級車だから即アウトではなく、
逆に普通の車でも私用中心なら弱い。
要は、フェラーリかどうかではなく、
仕事で使っている実態があるかです。
必要なものまで怖がる必要はない
ここでお伝えしたいのは、
ブランド品をどんどん買いましょうという話ではありません。
そうではなく、事業で本当に必要なものまで、
過度に怖がる必要はないということです。
経営者の中には、
「必要だけど高いからやめておこう」
「ブランド品だから無難な方にしておこう」
と考える方もいます。
必要なものなら、必要な理由で買う。
そして、必要なものとしてきちんと処理する。
この感覚の方が健全です。
「経費になるから買う」は違う
一方で、ここは冷静でいたいところです。
たしかに経費になれば、税負担は軽くなります。
見方によっては、
税率分だけ安く買えているようにも見えます。
でも、それはあくまで必要な支出だった場合の話です。
不要なものを「経費になるから」という理由で買えば、
当然キャッシュは減ります。
税金が減っても、お金が増えるわけではありません。
経費は、使ったお金の一部が税金で調整されるだけです。
無駄遣いが得になるわけではありません。
だからこそ、
必要なものを、必要な理由で買う
この順番が大事です。
経費判断は“空気”ではなく“実態”
ブランド品が経費になるかどうか。
答えはシンプルです。
ブランド品だからダメ、ではありません。
高いからダメ、でもありません。
見るべきなのは、
事業に必要か
実際に事業で使っているか
その説明に耐えられるか
です。
税法は、イメージではなく実態で見ます。
だから経営者側も、見た目や空気感ではなく、
事業性と実態で考えることが大切です。
必要なものなら、過度に怖がらなくていい。
ただし、必要でないものを経費で正当化しようとするのは違う。
この線引きを雑にしないことが、結局は一番大事です。
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