今日は、機会損失の考え方について書いてみます。
経営では節約は大事です。
少しでも安く、少しでもムダなく。
これは当然の感覚ですし、
私も節約そのものを
否定したいわけではありません。
ただ、経営ではもう一つ大事な視点があります。
それが、目先の支出を減らすことより、
機会損失を防ぐことです。
機会損失とは、
本来なら掴めていたはずの
利益やチャンスを取りこぼすことです。
見えるコストには敏感でも、
支出を惜しんだことで失う時間やチャンスには、
意外と鈍くなりやすい。
今日はそんな話です。
安く仕入れたつもりが、高くつくことがある
たとえば在庫の話です。
1個5,000円の商品があり、必要なのは8個くらい。
この場合、普通に仕入れれば4万円です。
でも、
「12個まとめて買えば1個4,000円になる」
と言われると、得に見えます。
合計4万8,000円で12個仕入れられるので、
単価だけ見れば安いからです。
ただ、実際に売れたのが8個だけだったら、
4個は在庫として残ります。
このとき、「8,000円多く払った」
で終わりではありません。
残った在庫には保管スペースが必要ですし、
管理の手間もかかります。
時間が経てば売れにくくなり、
値下げや処分が必要になることもあります。
つまり、不良在庫は
持っているだけでじわじわコストが増える
というのが怖いところです。
目先では得に見えても、全体では損をしている。
これは経営で本当によくあります。
機会損失は「すでにお金が減っている話」ではない
では逆に、最初から8個だけ仕入れていて、
あとで「10個売れたかもしれない」
となったらどうでしょうか。
これはたしかに機会損失です。
本来取れたかもしれない利益を
取りこぼしているからです。
ただ、不良在庫とは性質がかなり違います。
不良在庫は、すでに現金が外に出ていて、
その後も管理コストがかかります。
一方で機会損失は、
取れたかもしれないプラスを逃したという話です。
もちろん、
いつも品切れでいいわけではありません。
ただ、過剰に持って
資金繰りを悪くするくらいなら、
少し足りないくらいの方が安全な場面は多いです。
実際、在庫を持ちすぎて
苦しくなる会社はたくさんあります。
一方で、少し足りなかったことだけで
一気に危なくなる会社はそこまで多くありません。
だからこそ経営では、
単価が安いかではなく、全体で見てどうか
を考える必要があります。
この話は、在庫だけの話ではない
この感覚は、日々の業務でも同じです。
うちでは、ストリームドという、
スキャンした資料を仕訳データにしてくれる
サービスを使っています。
便利ですが、1仕訳ごとに費用がかかるので、
それだけ見ると「もったいない」
と感じることもあります。
「数十円かかるなら、自分たちでやった方が安い」
そう考えたくなる気持ちは分かります。
でも、これは経営的には少し危うい判断です。
なぜなら、
その数十円と引き換えに減らしているのは、
単なる「作業」ではないからです。
数十円で買っているのは、時間と判断の速さ
ストリームドのようなサービスを使うと、
資料を見て、打ち込んで、確認して、
修正して、整える。
この流れがかなり軽くなります。
ここで本当に見るべきなのは、
その作業を人がやることで、
何を失っているかです。
時間はもちろん、単純作業は思っている以上に
集中力を使います。
件数が増えるほど確認の負担も増え、
処理が遅れれば月次の数字も遅れます。
そうなると、
- 社長が数字を見るのが遅れる
- 資金繰りの違和感に気づくのが遅れる
- 本来できた提案が、あとからの説明に変わる
ということが起きます。
数十円で買っているのは、
単なる入力作業の代行ではありません。
時間と、経営判断のスピードそのものです。
本来できたはずの攻めの提案が、
あとからの現状説明に変わってしまう。
これこそが、
目に見えない大きな損失だと思います。
節約は大事。でも、節約だけでは弱くなる
ここは誤解のないように書いておきたいのですが、
私は節約が不要だと言いたいわけではありません。
ただ、節約を重視するあまり、
価値のある支出まで削ってしまうと
別の問題が出てきます。
本来なら早く処理できたものが遅れる。
お客様対応や提案に回せた時間が消える。
防げたミスや漏れが起こる。
これは、表面上は節約でも、
実際には大きな機会損失かもしれません。
経営で大事なのは、何でも削ることではなく、
どこは削るべきで、
どこは払うべきかを見極めることです。
この視点は、組織のカルチャーにもしたい
そしてこの考え方は、
社長だけが持っていればいいものでもありません。
組織としても、
この視点を持つことが大事だと思っています。
現場で
「少し安いからこちらにする」
「今あるもので何とかする」
という判断だけが積み重なると、
全体最適からズレることがあります。
一方で、
- 一見コストはかかるけど、後工程の手間を減らせる
- この支出で全体のスピードが上がる
- お客様対応の質や判断の速さが上がる
と考えられる組織は強いです。
もちろん浪費を認めるという意味ではありません。
節約意識は持つ。
でも同時に、
機会損失まで含めて考える癖を組織に持たせる。
これは経営するうえでかなり大切だと思います。
まとめ
不良在庫の話も、ストリームドの話も、
本質は同じです。
人は、払ったお金には敏感です。
でも、払わなかったことで
失う時間やチャンスには鈍くなりやすい。
だからこそ、
見えるコストだけで判断しないことが大切です。
もちろん、節約は大事です。
ただし、節約だけでは会社は強くなりません。
その支出が何を減らし、何を生むのか。
どんな機会損失を防いでくれるのか。
そこまで含めて判断することが、
経営ではとても重要です。
そしてこの視点は、社長一人のものではなく、
組織全体の判断基準や
カルチャーとして育てていく価値がある
と思います。
「もったいない」と感じたときほど、
その裏で何を失っているのかを見る。
この感覚を持てるかどうかで、
経営判断はかなり変わってくるはずです。
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