社員の実質手取りを増やす福利厚生。食事代補助の非課税枠が倍増

物価高で社員の生活を支えたい。
でも、単純な賃上げは会社負担も重く、
社員側も税金や社会保険料が増えて、
思ったほど手取りが増えない。
そんな悩みを持つ経営者の方も多いと思います。
そんな中で注目したいのが、
令和8年度税制改正大綱で示された、
食事代補助の非課税枠の引き上げ
です。
これは単なる節税の話ではありません。
会社側は経費になり、社員側は税金がかからない。
つまり、実質的な手取りアップ
つながりやすい制度です。
今日はこの改正を、制度説明だけでなく、
経営者がどう活用すると意味があるのか
という視点で整理してみます。

まず前提。会社の飲食代は全部同じではありません

会社の飲食代は、
見た目が似ていても
税務上の扱いはかなり違います。

社長の1人飲食。
社員への食事補助。
会議のための飲食代。
取引先との接待交際費。

この中で今回のテーマになるのは、
社員への食事補助です。
ここで大事なのは、社員への食事は最初から
福利厚生費になるわけではない、という点です。
むしろ原則は、
役員や従業員に対する食事の提供は
給与として扱われる
というのがスタートです。

食事代補助は、原則では給与課税です

会社が社員の食事代を負担すると、
税務上は現物給与と考えるのが基本です。
つまり、現金ではなく食事という形で
給料の一部を渡している、という見方です。
そのため、条件を外せば
普通に給与課税の話になります。
飲食代はプライベートとの線引きも
曖昧になりやすいので、
税務でも雑に扱えない論点です。

ただし、一定の条件を満たせば非課税になります

実務で大事なのはここです。
社員への食事補助でも、
一定の条件を満たせば
会社負担分を給与課税しなくてよい
扱いがあります。
2026年3月以前のルールでは、主に次の2つです。

ひとつは、
本人が食事代の半分以上を負担すること
もうひとつは、
会社負担額が月3,500円以下であることです。

逆にいえば、ここを外すと
「食事補助だから大丈夫」は通りません。
税務は名前ではなく、実態で見るのが基本です。

今回の改正で何が変わるのか

令和8年度税制改正大綱では、
この会社負担額の上限を、
月3,500円から7,500円へ引き上げる
方向が示されました。
これまでは、たとえば月7,000円分の
ランチ代補助を設計するとしても、
本人3,500円、会社3,500円が
ひとつの目安でした。
それが今後は、
本人7,500円、会社7,500円で、
月15,000円分の食事補助を
設計しやすくなるイメージです。

旧ルールは月7,000円。
新ルールは月15,000円。
2026年4月1日以降

かなり印象が違いますよね。
1日あたりで見ても、
500円から700円程度のランチ代を
会社と社員で現実的に折半しやすくなる
イメージです。
今の物価を考えると、この差は小さくありません。

これは「節税」より実質手取りアップで見るべきです

この制度は、節税策というより、
社員の実質手取りを増やす仕組み
として見たほうがいいと思っています。
単純に給与を上げると、
会社側の負担も増えますし、
社員側も税金や社会保険料の影響を受けます。
その点、ルールに沿った食事補助であれば、
会社が払ったお金が社員にとって
比較的わかりやすいメリットになりやすい。
ここが大きいです。
しかも食事補助は、毎月の生活の中で
実感しやすい福利厚生です。
この実感しやすさは意外と重要です。

採用や定着にも効きます

この制度は、税務処理の話で
終わらせるのはもったいないです。
今はどの業界も人材確保が簡単ではありません。
その中で、食事補助があるというのは
派手ではないけれど分かりやすい福利厚生です。
毎月の生活に直結するので、
社員側の満足度にもつながりやすいです。
もちろん、いきなり上限いっぱいまで
出す必要はありません。
5,000円でも6,000円でもいいと思います。
大事なのは、制度が広がることで、
社員への還元として設計しやすくなることです。

名前だけ食事補助にしても意味はありません

税務の世界は、
正しく設計して、正しく運用すること
が大前提です。

本人負担の条件は満たしているか。
会社負担額は上限内か。
誰に、どういうルールで支給するのか。
処理や記録はどうするのか。

このあたりが曖昧だと、
あとで給与課税の話になりかねません。
飲食代は特に線引きが曖昧になりやすいので、
福利厚生っぽいかどうかではなく、
税務上の条件に沿っているか
で考える必要があります。

まとめ

食事代補助の非課税枠の引き上げは、
かなり使い勝手の良い改正になりそうです。
これまでの月3,500円では、
今の物価にはやや合いにくいところがありました。
それが月7,500円になる方向なら、
制度としての現実味はかなり増します。
ただし、大事なのはここからです。
この制度は、単なる節税ネタとして見るより、
社員の実質手取りアップ
福利厚生の充実
採用や定着への投資
という視点で捉えたほうが、
経営としては意味があります。
そして税務はいつもそうですが、
制度は知っているだけでは足りない。
正しく運用して、初めて価値が出る。
大きな賃上げだけが還元ではありません。
こうした制度設計も含めて、
会社としての還元を考える時代だと思います。


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