今日は、借金の見方について書いてみます。
社長と話していると、借入総額を見て
「こんなの返せるのかな」
と重たく感じている方は本当に多いです。
その不安が強くなると、
借入はなるべくなくしたい
利益ですべて返したい
という考え方になりやすいです。
でも、ここは一度
立ち止まって考えたいところです。
結論から言うと、
借入を全部なくそうとする考え方や、
すべての借入を利益で返そうとする考え方は、
必ずしも正しくありません。
むしろ、その発想が強すぎると、
会社の成長を止めてしまうことがあります。
借金は、全部同じではない
借金というと、どうしても一括りで考えがちです。
でも実際には、借入には性格の違いがあります。
大事なのは、
その借入が何のためのお金なのかを見ることです。
ここを分けずに
「借金は借金だから全部返さないといけない」
と考えると、必要以上に不安が大きくなります。
運転資金は「返して終わり」の借入ではない
まず、運転資金です。
これは、在庫を持つ、
売掛金の回収までのズレを埋める、
資金繰りに余裕を持たせるなど、
商売を回すためのお金です。
在庫や売掛金は、
商売を続ける限りゼロになりにくいです。
ということは、それを支える借入も、
無理にゼロにしなくていいということです。
たとえば、
1,000万円の在庫を常に抱えている会社なら、
その1,000万円は商品や現金や売掛金と
姿を変えながら、ずっと会社の中に居続けます。
だったら、その1,000万円を支える借入も、
ずっと会社の中にあってよい。
そんなイメージです。
だから運転資金は、
借りっぱなしでもよい性格の借入です。
残高が減ってきたら再度調達してもいいですし、
短期借入として毎年継続する形で
実質的に借り続けるのも自然です。
在庫や売掛金が少なくても、持っていてよいお金はある
在庫や売掛金があまりない会社でも、
売上の波や先行支出への備えは必要です。
経営していくうえで、
一定の運転資金を厚めの預金として
持っておいた方がよいことがほとんどです。
その場合は、実質的に
常にストックしておく預金
として考えてよい場面もあります。
ただし、赤字を埋めるための借入は別です。
それは商売を回すためのお金というより、
消えていくお金を埋める借入になりやすいので、
ここは分けて考える必要があります。
設備資金は、利益で返していく借入
一方で、設備資金は考え方が違います。
車、機械、内装、設備、不動産など、
将来使う資産のために借りるお金です。
こうした資産は時間とともに価値が落ちたり、
消耗したりします。
だから設備資金は、その設備を使って
生み出す利益で返していくのが基本です。
つまり、
運転資金は持ち続けてもよい借入
設備資金は利益で返していく借入
この違いがとても大事です。
「全部返そう」が会社を弱くすることもある
借入を全部なくそうとする。
すべて利益で返そうとする。
一見、堅実に見えます。
でも、実務ではこの考え方が
会社を弱くすることも多いです。
なぜかというと、
必要以上に利益を出そうとする経営
になりやすいからです。
本来、運転資金まで全部利益で返そうとすると、
社長は「もっと利益を出さなきゃ」と考えます。
その結果、将来の成長に必要な人件費や経費、
投資まで抑えてしまいやすくなる。
これでは、短期的に利益が出ても、
会社は伸びにくくなります。
借入の方法も、性格に合わせて考える
だからこそ、借入は金額だけではなく、
組み方が大事です。
考え方はシンプルで、
運転資金は短期で借りて継続する
設備資金は長期で組む
これが基本です。
運転資金は、
商売を続ける限り必要になりやすいお金です。
だから、短期借入として借りて、
毎年見直しながら継続する形と相性がいいです。
一方で設備資金は、
長く使う資産のためのお金です。
だから、長期で返していく方が自然です。
借入は「悪」ではなく、設計の問題
借入があること自体が問題なのではありません。
問題なのは、
何のために借りているのか
どう返すべき借入なのか
を分けずに見てしまうことです。
そしてもう一つ大事なのは、
感覚で借入を考えないことです。
借入の設計を考えるには、
まず精緻な損益計画が必要です。
どれくらい売上をつくるのか、
どれくらい粗利が出るのか、
固定費はいくらかかるのか。
この見通しが曖昧だと、
必要な借入額も返済可能性も見えません。
そのうえで、損益計画に連動した資金繰り表
を作ることが大切です。
借入は、感覚で怖がるものではなく、
損益と資金繰りの
両方を見ながら設計するものです。
借金の総額ではなく、中身を見る
社長が本当に見るべきなのは、
借金の総額だけではありません。
その借入は運転資金なのか、設備資金なのか。
利益で返すべきものなのか、
持ち続けてよいものなのか。
ここです。
借入をなくすこと自体を目的にすると、
会社は守りに入りすぎます。
利益ですべて返すことを目的にすると、
必要な経費や人件費まで削りやすくなります。
必要なところにはしっかり使う。
必要な借入はきちんと使う。
そのうえで、借入の性格に合わせて
返し方を考える。
この発想で見られるようになると、
借入はただの不安材料ではなく、
会社を安定して伸ばすための道具になります。
借金の総額ではなく、中身で見る。
この視点を持てるかどうかで、
社長の経営判断はかなり変わると思っています。
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