税理士は、スキルで比較され感情で選ばれる

「スキルは十分あるはずなのに、なぜか選ばれない」
そんな感覚を持ったことがある税理士は、
少なくないと思います。
知識も実務もある。
それでも、「この人にお願いしたい」
とはならないことがある。
一方で、自分より明らかに
優れているようには見えない人や事務所が、
自然と選ばれていくこともあります。
この差は何なのか。
今日はそこについて書いてみます。

スキルがあっても、選ばれるとは限らない

税理士は、どうしても
専門知識で選ばれる仕事だと思いがちです。
もちろん、それは大前提として正しいです。
知識も実務もなければ話になりません。
ただ、一定の水準を超えると、
勝負はそこだけではなくなります。
顧客は比較の場ではスキルを見ています。
でも、最後に決める場面で効くのは、安心感です。

話しやすそうか。
ちゃんと受け止めてくれそうか。
自社のことを理解してくれそうか。
長く付き合えそうか。

こうした感覚が、
最終的な判断にかなり影響します。
そしてこれは、
税理士個人だけの話ではありません。
経営者にどう向き合うかという
意識を持つ事務所かどうか
も、
選ばれる理由になります。

人は、思っているほど合理的に選んでいない

以前、ある顧客から
こんな話を聞いたことがあります。
経営していた飲食店で、
心理学の先生の協力を得ながら、
お客様の行動に関する実験をしていたそうです。
箸の長さやBGM、POPの見せ方などを
少し変えるだけで、反応が変わる。
その経験から、人の意思決定には
感情や空気感が大きく影響する
ことを実感したと話してくれました。
その話の中で印象的だったのが、
A店では100円、
B店では80円で同じ水を売っている
という例です。
完全に合理的なら、全員がB店を選ぶはずです。
でも実際はそうなりません。
A店の店主が好きかもしれないし、
入りやすいのかもしれない。
B店のほうが安くても、
雰囲気が悪いかもしれないし、
移動や手間のほうが面倒かもしれない。
つまり人は、
正しさや安さだけで選んでいるわけではない
ということです。

税理士選びでも、最後に効くのは感情

これは税理士選びでも同じです。
経営者は、顧問料実績提案内容も見ています。
ただ、最後に「この人にお願いしよう」
と決まる時は、それだけではありません。
たとえば、同じ節税提案をするとします。
税理士Aさんは、提案を淡々とメールで送る。
税理士Bさんは、同じ提案をしながら
「最近、資金繰りのことで
夜眠れないことはありませんか?」

と一言添える。
提案内容が同じでも、
経営者が「次もこの人に相談しよう」
と思うのは、おそらく後者です。
後者は、答えだけでなく
相手の不安まで見ようとしているからです。
そして、そういう関わり方が
自然にできる事務所は、
経営者から見ても相談しやすい事務所になります。
経営者が求めているのは、
知識そのものだけではありません。
不安な時に受け止めてもらえる感覚や、
ちゃんと自社を見てくれそうだという信頼感です。

人間力は、性格ではなく技術だと思う

こういう話をすると、
「結局はキャラの問題でしょ」と思われがちです。
でも、人間力をふわっとした精神論で
終わらせたくありません。
選ばれるための向き合い方とは、たとえば

正論を急がず、まず背景を聞くこと
数字の増減だけでなく、
社長の表情の変化を見ること

不安を否定せず、一度受け止めること

こういうことだと思っています。
これは生まれ持った性格ではなく、
意識して磨ける技術に近いものです。
しかも、経営者相手の仕事では、
これはあると良いというより必要な力です。
経営者の相談は、数字や税金の話に見えて、
その裏に不安や迷いがあることが多いからです。

選ばれる事務所は、申告書の先を見ている

選ばれる税理士や事務所は、
企業を単なる処理先として見ていません。

この会社がどこに向かいたいのか。
今どこで詰まっているのか。
何を不安に感じているのか。
数字をどう経営に活かしていくのか。

そういう視点で関わるから、
同じ試算表の説明でも違いが出ます。
ただ数字を説明するのか。
それとも、経営判断にどうつながるか
まで翻訳して渡すのか。
この差は大きいです。
経営者が本当に求めているのは、
申告書そのものよりも、
安心して相談できる相手であり、
自社を理解してくれる事務所なのだと思います。

最後に差がつくのは、向き合い方

スキルがあるのに選ばれない。
もしそう感じるなら、足りないのは知識ではなく、
向き合い方かもしれません。
税理士は、能力だけで決まる仕事ではありません。
能力があることを前提に、
そのうえで信頼されるかどうか
問われる仕事です。
そしてそれは、個人の問題だけではなく、
事務所としてどんな視点を持っているか
にも表れます。
人は、合理性だけでは選びません。
最後に動くのは、安心感信頼感です。
だからこそ、スキルを磨くことと同じくらい、
経営者にどう向き合うか
事務所としてどんな空気をつくるか
そこを磨いていく必要があるのだと思います。


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